ストーリー
バテイア農園は、エスピリットサント州カステロ市の山岳部にある農園名でもあるバテイア・コミュニティーに位置する農園です。この地域は、古くは川で砂金を採取していた歴史があり、バテイアと呼ばれる砂金を採る道具に由来し、コミュニティー自体にバテイアという名前が付いたと言われています。そうした地域の歴史文化に敬意を表し、この地に点在する小さなコーヒー農園の多くがバテイア農園と名付けられているそうです。そんな数あるバテイア農園の1つであるサルトーリ家のバテイア農園は、イタリア系移民であった祖父の代からコーヒー生産に従事し、その系譜の中で多くの親族もコーヒー農園を営む一族です。この地の集落は、バテイアの名前を大切にするように、地域の営みを愛し、隣人同士でコーヒー生産に対する知識を共有し、優れたノウハウを蓄えてきたとも言います。
ロジェリオさんも、この地で名高いサルトーリ家の一族で、バテイア農園に生まれ、1998年に父レオニールさんから農園を受け継ぎました。以来、妻のデウサさんと二人三脚でサルトーリ・ファミリーの歴史を紡いでいます。
ロジェリオさんは2000年代に入ると、より品質によって高い取引価格に繋がるスペシャルティコーヒーのマーケットへ舵を切り、2002年からはマイクロミルを設立し、より高品質なコーヒー生産を目指しました。ウェットミルの導入は大きな投資であり、ロジェリオさんにとって大きな挑戦でしたが、彼の生産するコーヒーは、ロットが小さいながらも品質が高く評価され、国際的なスペシャルティコーヒーの市場を開拓しました。
ご夫婦は品質を追求するために全力を注ぎ、ウェットミルの他にも屋根付きのコンクリートパティオや石造りの冷涼な貯蔵庫など毎年投資を繰り返しながら、品質の向上に努めてきました。そうした中で、過去エスピリットサント州のマイクロロットコンテストで優勝に輝いたこともあり、献身的な生産姿勢と農園の素晴らしい微気候が認められた瞬間になりました。
今なお、ロジェリオさんはコーヒー栽培における最新情報や技術を学び続けており、詩文の農園へ取り入れるよう努めており、地域で開催される研修や講習会には欠かさず参加をしています。決して慢心することなく、情熱をもって100年以上の歴史を持つコーヒー生産を更に発展させています。
現地に事務所を構えるBourbon Specialty Coffee社はエスピリット・サントのコーヒーを”Flor de March”と呼びます。ブラジルの他の産地では10月から11月にかけて開花をしますが、エスピリット・サントでは3月に開花するためこのように呼ばれています。開花が3月に行われるためコーヒーチェリーはブラジルの秋から冬にあたる5月から8月に成長します。この時期は気温が穏やかなため果実の成熟には270日もかかり、これは他の産地より60日ほど長くなります。この現象によって、より複雑でフローラルな甘いコーヒーが生み出されます。
エスピリット・サントは独自の微気候、海に近いことから生産処理をナチュラルからパルプドナチュラル、ウォッシュドへ変更してから近年、注目されています。エスピリット・サントは海に近い山岳地帯でもあるので、湿度が高く、降雨量も内陸の平野に比べ多くなります。そのため収穫・乾燥中に雨のリスクがある事や、乾燥に時間が掛かる事で欠点としての発酵リスクも生じます。チェリーのままで乾燥させると、水分量が多い事や外果皮に覆われているため、乾燥に時間を要しますので、乾燥リスクの少ないウォッシュドやパルプドナチュラルが気候上最適なプロセスとされています。また、この地域は中米のようにビニールハウスの中にアフリカンベッドを入れたような室内乾燥場が多く、降雨からパーチメントを守りつつ、乾燥効率を上げているケースが多い事も特徴です。